無題.jpg 短納期、低価格の中国製金型製作をサポート
金型最大供給国の中国では、様々な企業が金型製作に携わっています。しかし、品質に懸念を抱く日本企業の調達担当者も多いと思います。中国生産20年の実績と経験から、弊社では、最高品質で低価格な金型調達の技術サポートをさせて頂きます。試作サンプル、切削加工なども、お気軽にお問合せください。

2020年12月30日

品質保証:中国生産で重要な品質保証体制

中国ものづくりの、一番の心配事は品質です。
中国で自信を持って品質保証するのは並大抵ではありません。

私の持論は、「理論より、KKD(仮説/経験/データで実証)」を重視して
いることです。
失敗経験の多さが、より一層KKDに磨きをかけます。
設備の豪華さより、ローカル企業の社長との人間関係が最後にものを言います。
そして最後は、私を信じて頂くしかありません。

中国オペレーション15年で得た多くの失敗経験から得た万全の品質保証体制!!
金型メーカ(YUEHAI)案内書0013.jpg

1.中国協力工場の選定と品質保証体制
(1)日本大手一流企業と取引実績のある協力企業を選びます。
(2)精密測定のできる企業を選びます。
(3)サンプル製作と測定、CPK評価を行います。
(4)社長とのコミュニケーションを欠かしません。

2.日本拠点のフォロー体制
(1)お客様情報収集、技術課題解決
(2)お客様要望を中国協力企業へ確実に伝達
(3)納期、品質、価格管理

3.製品の種類により最適な金型の品質管理を実施
(1)外装・意匠部品
   外観重視、意匠面の鏡面仕上げ、流動解析による歪、ヒケ、ウエルド
   ショートモールド防止を徹底します。

(2)機構・可動部品
   寸法精度重視、強度・耐久テスト実施、±1/100公差保証、試作サンプル
   にて実機組み込み確認実施

(3)その他特殊用途部品
   インサート成形、2色成形、部品の超音波溶着、塗装、印刷などの2次加工
   実施、剥離性、耐食性、対候性テスト実施

金型製作前のDFM解析、流動解析を丁寧に実施し金型製作後のトラブルをほぼゼロ
として、最短工期で完成させます。また成形品は、三次元測定機による精密測定が
可能ですので、安心してご依頼ください。

サンプルトライ品の寸法測定、量産品の全数外観検査、塗装、溶着など日本受け
入れ後、実施により、より確実な品質保証を可能としています。

4.品質保証契約
 (1)お客様要望に沿って、品質保証契約締結(中国企業用雛形あり)
 (2)お客様要望に沿って、機密保持契約締結(中国企業用雛形あり)
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2018年10月24日

中国製金型、委託製造の注意ポイント

金型には、生産技術の粋が全て取り込まれています。
中国では最近日本と遜色のない金型を作ることができると言われています。

設備を見れば、オークマのNC機械・三菱の放電機、などが並んでおり、日本の金型メーカーから見れば羨ましいばかりです。工具も日本製・スイス製などを使っています。金型設計も、CAD・CAMを駆使しており、成形シミュレーションも可能。金型設計・金型データーも日本と同じものが使えます。

では、本当に日本と同じ品質の金型ができるのだろうか?この疑問に答えるには、次のような現実を捉える必要があります。
■ 金型工場
1.工作機械は同じと言うが、機械の保守は同じか?精度は同じか?バックラッシュも同じか?剛性に微妙な差がないか?
2.工具(カッター)は同じか?日本と同じもの、と言われるかもしれないが、その精度維持・管理は同じレベルに出来ているか?
3.作業者(オペレーター)は同じレベルか?微妙な変化に気配りが出来ているか?
4.仕上げは同じに出来るか?これにもマニュアル化できないようなノウハウがある。

工場に入って、見かけは立派でも、以上のことを見ないと日本と同じレベルの金型が出来るかどうかは分からないということです。

『同じものが出来るはず』と 言う気持ちで取り組むより、『同じものは出来ない。だが、同じものを造りたい。』と言う気持ちで 取り組んだ方が、中国では間違いがないのです。

■ 金型材料・金型部品
そして、次に金型材料、部品など購入品の問題に注目します。
1.中国製鋼材は品質にはピンからキリまであり、技術的には劣る中小の鋼材メーカーが限りなく存在し、価格は安いが品質にまだかなり問題があります。必要に応じて日本或いは欧州の材料を指定すべきと考えます。ただその場合、単価は日本で調達するより、10%から20%ほど高くなるし、入手に日程も掛かることを覚悟する必要があります。

2.金型部品であるガイドポスト・ブッシュ、ピアスポンチ・ブッシュ、スライドプレート、スプリングなどは中国製もあるが、ミスミ・デイトンなども使われるが、価格は中国製の2倍もするものがあるが、精度や、寿命の点で中国製は劣ると言わざるを得ません。

3.熱処理・表面処理には注意が必要です。金型の寿命アップのためには必要な各種の熱処理・表面処理を行なう場合、このレベルがまだまだ低いメーカーが存在することは事実です。熱処理による歪の管理や、TD処理、TiC処理、皇室クロムメッキ、溶射などの技術がまだまだ整っていないのが現実です。

■ 人材育成
人材育成は重要な要素だが、中国の労働事情では難しい面があります。
道具やインフラがいくら整っても良い金型が出来るわけではなく、それぞれのプロセスで仕事をする人、全体をマネージメントするエンジニアーいなければ良いものが出来ません。

そのためには、優秀な人材の育成が必要です。コンピューターのオペレーションだけを見れば座学でも出来ます。しかし実際に設計したり、シミュレーションをしたり、金型を仕上げたり、トライをしたりするには、座学(基礎知識)とともに、現場で金型に直面しながら習得する必要があります。

労働者の移動が激しい中国に於いて、技能者、キーマンなどの人材をいかに固定させ、一定の品質を保っていくのか?など・・・

安くて品質の良い金型を作るには、現地の信頼できるローカル金型工場を探し、そして育てることです。
弊社が推進する「金型見積りプラットフォーム」は、そのような観点から、信頼できる現地企業のネットワークを構成して、ハイレベルの金型作りをめざし、一体となった取り組みを行っております。

★ 複数の企業から相見積もりが取れる。仕様を明確にして「金型仕様書」を作成、各社共通基準に基づいて見積金額を算出することが可能な「金型見積りプラットフォーム」をご利用ください。
★お見積り受付の手順は「こちら」から

★ お見積り受付フォーマットは「こちら」をご利用ください。
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2018年10月10日

測定の基礎と測定器の管理

1.測定の重要性
製造業において、製品の開発・設計から量産に至るまでの各々のステップ
で、“測定”は欠かせない作業であり、“測定”によって得られたデータを
基に、工程や、作業方法の評価や判定を行い、次の行動に移ります。

特に現在ではグローバル化が進む中で海外との関係も深くなり、品質問題
を出した時のロスコストは企業存続に関わる重要な問題となます。
そこで、正しい測定によって“不良品を作らない、および流さない”事が大
事になってきます。

正しい測定データを得る為には
 @正しい計測機器を使って測る
 A正しい測り方で測る
 B適正な環境の下で測る
ことが大切であり、たかがノギスでの測定と思わずに、慎重な測定作業を
心掛ける必要があります。

2.測定値の信頼性
測定値の信頼性は、測定器の信頼性と、測定者の知識や習熟度などの測定
に関する様々な要因によって得られるものです。測定の信頼性は「誤差」
「精度」「繰り返し性」などによって表されます。

「計量トレーサビリティ」とは、測定器による測定結果が、校正の途切れ
ない連鎖で国家標準や国際標準に関係づけられていることを表す性質です。

例えば、「測定結果は、計量トレーサビリティ(traceability)が確保
されている」という使われ方で、測定結果の信頼性を表しています。

計量トレーサビリティ制度」は、国家標準(特定標準器)を定め、産業界
などの測定器が計量トレーサビリティを確保できる仕組みであり、計量法
に定められています。

すなわち、測定器は、校正事業者が保有する標準器(実用標準器)によっ
て校正され、その標準器は、より正確な(不確かさがより小さい)標準器
(特定二次標準器)によって校正され、さらに、特定二次標準器は国家標
準の特定標準器によって校正される仕組みとなっています。

3.測定器の管理
3.1 測定器の選択
(1) 測定器の種類による選択
測定器は、値段が高い物ほど機能や性能が優れていますが、反面、取扱い
方が難しく校正や修理など保守管理にお金がかかるので必ずしも高価なも
のばかりが良いとは言えません。

大事な事は測定器が使用する目的に対して適切な物であって、かつ精度に
よって適切なものを使うことにあります。また、その測定器の正しい測定
方法を知っていなければ、その価値を発揮できずに本来持っている能力を
引き出せないで終わってしまいます。

したがって、測定器の購入担当者には、製品・部品の検査・校正で必要と
なる精度を把握し、要求を満たせるような選択がせまられます。
つまり、適切な測定を行うためには、適切な能力の測定器を選択すること
が必要です。

ノギスとマイクロメータの適切な使用方法の例として
ある製品のシャフトの径を測定し、その許容差が5.00±0.01mm であった
とします。それを検査員は、デジタルノギスで測定し、4.99 mm で検査
成績書を作成し、顧客に提出しました。

後日顧客から次のような指摘がありました。「デジタルノギスはせいぜい
±0.02 mm の精度であるので、ここはマイクロメータ使用して測定すべき
ではないか?」。検査員はデジタルノギスでも0.01 mm の数値が出るので
そのまま測定してしまいましたが、ここはノギスの10 倍以上精度が取れる
マイクロメータで測定する方が適当です。

(2) 測定方法による測定器の選択
例えば、長さの測定で、あるシリンダの内径を測定する測定器にはエアー
マイクロメータ、ホールテスタ、シリンダゲージなどがあります。レーザ
外径測定器の代わりにデジタルリニアゲージなどを使用して検査を行うこ
ともできます。

しかし、それらの測定を行うには日頃から訓練が必要です。
例えば、測定器取扱講習会などを行って確認します。ある円柱のワークを
用意し、それを金属製金尺、ノギス,マイクロメータ、ダイヤルゲージ、
工具顕微鏡、外径測定器、輪郭形状測定器などの様々な長さ測定器を実際
に使用し、正しく測定ができるかどうか確認します。

各測定器の正しい測定方法と、様々な方法があることを体験し、訓練する
ことが大切です。

3.2 測定作業の整理・整頓
測定器に5S 管理を導入することで生産能力効果が高くなります。
測定器の5S とは、(1)整理、(2)整頓、(3)清掃、(4)清潔、(5)しつけ
のことをいい、生産現場の5Sと同じ考え方で管理します。

(1) 整理
 良品・不良品、校正済み品、不要品及び故障品の識別管理を行う。
(2) 整頓
 取り出しやすく、また置きやすくする配置を心がけます。
(3) 清掃
 測定器に付着している異物やさびなどを丁寧に掃除します。
(4) 清潔
 整理、整頓、清掃された状態を維持します。
(5) しつけ
 大切に使う習慣を付けます。

4.測定器の校正
使用する測定器すべてを管理対象とする必要はなく、管理の対象となるか
否かの決定(線引き)が重要です。すなわち、管理はするが校正は行わな
いものの位置づけも必要であり、識別を強化することで問題はないと考え
られます。

例えば、電気テスターなどは、検査で導通チェックや100V 電源を測定す
ることが多いので点検のみでも充分です。

(1) 校正の頻度
校正対象とした測定器は定期的に校正を行わなければなりません。校正の
周期は、その測定器が規格などで周期が決まっていない限り、組織で自由
に決めて良いでしょう。精度があまり変わらない物に関しては校正周期を
常識的な範囲で長くしても構いません。

(2) 校正の方法
測定器の校正には、コストがかかりますので法的な規制のある場合や、標
準器の高額ものや校正技術の高度なもの及び、重要保安部品など顧客の
信頼に影響を与える測定器は外部に校正依頼して、それ以外は校正要員
を養成し、必要な校正設備を購入して社内校正をおこなうとよいでしょう。

(3) 校正外れへの対応
校正を行って不合格になった場合、その機器で実施した製品検査などの結
果の妥当性を再評価し、記録する必要があります。前回の校正までさかの
ぼって検査結果を見直すことは現実的でないので、リスクが非常に小さい
と予測できる場合などは、それまでその不合格の測定器を使用したことに
よる“不具合などの発生”で確認しても良いでしょう。

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2018年10月04日

NC加工機の精度管理!意外と分かっていないのでは?

一般論として考えられる、NC加工機の精度が狂う原因について、考えられる要因を列挙してみます。

1.まず、使い方をチェックする
機械を疑う前に、基本的な使い方が正しいのか?まず点検してみます。
精度を保証するための基本的な方法として、ロットのばらつきや機械相互のばらつきを抑える手段として以下の点に注意します。
 ・材料を移動せず(セットし直し)、治具に固定したまま加工する
 ・複数の機械で、同じ品物を加工する時はプログラムは、同一のものを使用する
 ・刃物を交換する時は、同じメーカー、同じ型番の刃物を使用する
 ・ロットの最初の加工で、1個加工し、寸法測定、OKの確認を行い量産に入る
 ・刃物回転数を合わせ、固定とする
 ・樹脂の場合は低速回転とする(8000〜9000rpm)
 ・加工スピードを固定とする
などが最低限守らなければならない重要な項目です。

その他の注意点として
 ・ワークの固定が甘ければ、加工中に動いてしまう。
 ・ワークの剛性が弱ければ、加工中に変形して刃物から逃げてしまう。
 ・刃物の剛性が弱ければ、加工中に曲がってワークから逃げてしまう。
 ・ 工作機械の剛性が弱ければ、切削抵抗に負けて機械が変形してしまう。
 ・ワークや機械(本体、主軸)の熱による変形を考慮し、一定間隔で加工物の寸法測定を行う。
 ・送り方向が逆になったときに、バックラッシの影響を受けた。
 ・切り込み深さ、ワークの突き出し長さによる精度保持の確認
 ・ワークの振れ、振れ止めの有無(長いワークを加工する場合)
 ・冷却水量、チャック圧、その他
などなど、いくらでも考えられますね。

段取りの良しあしで精度や出来栄えが変わってきます。当然、段取り換えが多くなればなるほど、“異なる加工面が合わさるつなぎ目に段差が生じる”といった精度が悪い部分がでてきますし、人手が掛かるためコストがかさんでいきます。したがって、段取り換えが少なくて済むような加工方法を工夫することで、精度よく低コストで加工できるのです。

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いくら高価で優秀な機械であっても、使い方の基本ができていなければ、宝の持ち腐れです。高精度加工ができる能力があるかどうかは、機械を見るのではなく、管理の状況をチェックします。
 ・加工手順を示すマニュアルの有無
 ・オペレーターの正しい知識、経験
 ・定期的な教育が行われているかどうか
 ・正しい測定技術、測定器具の整備状況
 ・測定結果の記録保管状況
 ・機械の定期点検保守、部品交換の実施状況
などをチェックすることが重要なのです。
これらがしっかり管理されていれば、そこそこの精度は保証できると考えられます。

NC切削加工は、プログラムに従って自動で動く工作機械を使用します。そのためか、機械に素材さえ乗せれば、後は全部機械任せでできると思われがちですが、人の判断、人の手が加わる部分は意外と多いのです。
こういった作業の良しあしで、部品の精度や出来栄えが大きく変わってきます。「切削加工=機械加工」と言っても、結局は人の腕次第ということになります。

次に機械そのものの要因で、精度に影響を与える項目について考えてみます。

2.回転部の寿命
回転部分のベアリングの寿命は約20.000時間程度に設定されていますが、使用状況によっては大幅に変動します。中には、3ヶ月程度で精度が保証できなくなる場合もあります。また軸受け(ブッシュ)は面であたるので、寿命は1−2年と延びます。

寿命を確保するためには、質の良い潤滑油、グリスを使う必要があります。ランニングコストを下げる努力は必要ですが、機械の精度保持、寿命の観点から、最低限のコストは必要となります。
精度は、自社にて直角度・真直度・バックラッシュ・異音などを定期的に(半年か1年)測定をして問題をがあればメーカーににチェックをしてもらうのが良いと思います。またTPM活動などを展開する方法も良いと思います。

3.エンドミルの使い方精度について
エンドミルはドリルのような突き加工では精度を出すのがとても難しい刃物です。
 ・できるだけ剛性のある機械で加工する
  剛性不足の場合は、切り込み量や切削条件を調節する

 ・剛性があり、精度の高いミーリングチャックを使用する
  エンドミルをチャッキングした時の、刃先の振れを極力小さくする 
 
 ・ワークのクランプはしっかりと固定して下さい。
  クランプ状態が改善できない場合は、切り込み量など切削条件を調節する

 ・切削油は充分に使用し、重切削には、水溶性切削油を使用する
  乾式切削用では、エアーブローを使用する

エンドミルは加工ワーク・加工形状によって、エンドミルメーカーの切削条件を守り、適切なエンドミルを選定する必要になります。

また、機械剛性・ワークのクランプ状態によって、切削条件を調節する必要があるため、切削加工に関する知識と経験、ノウハウのマニュアル化などが重要と思われます。

4.周囲環境等
日光がマシンの一部だけにあたる、空調の風が直接当たるなど部分的に温度変化があると姿勢が変化して精度に影響します。
また、長時間連続して加工した場合、スピンドル、ボールネジ、摺動面等の熱により姿勢が変化します。また設置されている床の基礎が悪いと機械精度は不安定になるので、機械メーカの要求を満たす工事を行っておく必要があります。
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大切な金型のメンテナンス

金型は、メンテナンスして初めて機能を発揮します。
成形工場で成形機の稼働していない時間の原因を調査した
ところ、金型の故障が最も多かったという調査結果があります。

PPSやPOMなどは特にガスの発生が多いので頻繁にメンテナンス
が必要です。また長い間成形していると、スライドのレール部
分、水穴の錆、ガスが逃げ込む場所の損傷など・・・様々な箇所
が様々な理由で劣化してきます。

金型は、毎回500Kg/cm2程度の圧力が金型の内側にかかって
おり、尚且つ200〜300℃程度の樹脂を1分に1〜4回程度プレスし
続けている訳ですから、壊れないのが不思議なくらいです。

金型の初期費用をケチると、冷却不足や鋼材不良、スライド
レール無し等であとから費用が発生ししたり、すぐに寿命が
来たり返って高くなってしまったりという事態に陥ります。

良い製品図と良い材料選択、そして良い金型+アフターメンテ
ナンス性のバランスを取ることが必要になってきます。

金型の故障の原因は、大きく分けると4項目に分類されます。
(1)金型の設計不良
(2)金型の加工精度不良
(3)金型の摩耗・腐食
(4)金型使用時の操作の誤り

このうち、(1)(2)あってはならない項目です。

また、金型設計時には、メンテナンスの事も考慮した設計が
必要です。
分解しやすいように分解用孔を設けたり、フックボルト用ねじ
を設ける、組み込み補助用ねじ孔を設けるなど工夫します。
また、コア類がばらばらにならないようにフレームブロック構造
としたり、キーで固定する構造も有効です。コアピン類の配置
番号を刻印したり、方向性を一定にするためにツバカットを工夫
することもしばしば採用されます。

プラスチック金型のメンテナンスが必要になる原因のひとつが
成形時に発生するガスが液化し、金型へ付着することです。
使用する樹脂や形状に応じて最適なエアベントやエア溝を設置し
ガス抜き効率を実現する構造を取ります。このガス抜き技術が
金型のロングライフを実現することになります。

通常、金型メンテナンスというと(3)を対象にしています。
(4)は人為的な型傷で、10万ショットもすれば、何かが起
きる可能性がありますが、これを防ぐには、硬い鋼材を使用
するのが最も効果があります。

いずれの場合でも、故障が起きたときは、ただちに修理しな
ければならず、先延ばしするとさらに重大な結果を招くこと
になります。

金型のメンテナンスでは、工場によっては、メンテナンスと
オーバーホールの言葉を区別します。
メンテナンスとは、金型を分解しないで行う整備を言い、例え
ば2週間に1回、生産計画に入れて、定期的に行います。

オーバーホールとは、金型を分解して行う整備を言い、例えば
4カ月に1回、生産計画に入れて、定期的に行うものです。
方法としては、金型を分解し、それぞれのパーツを超音波洗浄
したり有機溶剤で洗浄し、錆びている部分を磨いたりめっきし
たりします。磨耗が激しい部分は、入れ子修正したり、部品交
換を行います。

メンテナンスの頻度は、成形品の品質管理状況や金型の大きさ
によってまちまちです。短い周期の金型では数日に1回、長い
周期の金型でも2か月に1回程度はメンテナンスが必要です。

簡単な補修は、成形現場でできる能力をつけることです。
そして、それには金型のメンテナンスのために、詳細なマニ
ュアルを作成することです。

大きな異常があってから修理するのでは多大な時間と費用が
かかります。日常の整備をしていれば、わずかな異常にも気
がつくようになり、大事に至らないうちに修理することがで
きます。

また、メンテナンスを効率的に行うためには、工具類、道具類
の工夫が重要です。
洗浄用ブラシ、分解工具、木製工具、布製治具、バフ、サンド
ペーパー類、磨きクリーム、ラップ剤、特製割り箸、竹へら、
竹櫛、エアーツール、クレーン補助具、Zライト、ルーペなどを
準備します。

作業台は作業しやすいように改善します。
作業しやすいテーブル高さ、歩行スペース、クレーン配置、
エアガン配置等を工夫します。図面を広げるテーブルやホワ
イトボード、デジカメ、ビデオカメラの活用も有効です。
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2018年02月07日

海外委託生産の品質問題について

海外の工場で、安い製品を委託生産して輸入したが、不良が多くかえって高くついて
しまう。「安物買いの銭失い」になってしまう!こんな経験を
して、二度と中国から輸入はしたくないと、苦い経験をした企業も多いと思います。

1.品質と価格について
塗料に鉛が入った中国製のおもちゃが アメリカや日本で相次いで発見され中国製品の
安全性が問題になりました。

確かに子供の知能を低下させるかもしれない危険な製品を輸出する中国はけしからん
ですが、この問題の本質は、中国人の考え方を良く理解していないで、何しろコスト
が安いという理由だけで中国の下請け工場に生産を委託する先進国企業の姿勢にある
のではないか
、と思います。

日本企業が、中国など海外の下請け工場におもちゃの生産委託をする際には、当然、
鉛フリーの塗料を指定し、契約書にもその旨が記載されているものと思います。

しかし、多分「そうした条件ならばこの値段ですよ」と言って工場側が出してきた見
積もりを見て、アメリカ企業や日本企業は「高すぎる、もっと安くならなければ買わ
ない」という交渉をして、値引きさせているのではないかと思います。

これが間違いのもとです

海外の下請け工場に生産を委託した先進国企業が「値切っても品質は契約書通りの
ものが出てくる」という先進国の常識がそのまま海外でも通じると勘違いしている
ところにこの問題の本質があるのではないでしょうか。

日本企業は、コストを割らないことや その他の契約条件を守ることを大前提とし
て交渉に臨みますので、無理な値引き要求は絶対に飲みません。

しかし、海外の企業は目の前の契約欲しさに、とりあえず相手の言い値で契約を
しておいて、工場に帰ってから「どうしたらこの値段で売っても、赤字がでない
ようにできるか」と考えます。

もちろん、中国の下請け工場も契約条件に「鉛フリー塗料」の使用が定められてい
るのは知っています。しかし赤字では商売になりませんので、「バレなきゃ何をし
てもよい」の法則に則って特に罪の意識もなく、「鉛入り塗料」を使うに至ったの
ではないでしょうか。

教訓として、価格が安すぎる、すぐ値引きに応ずるなどの企業には注意が必要です。

2.品質問題を起こさないためには
海外委託生産で、品質問題を起こさないためにはどうするかを列挙してみます。
・上記解説のように、適正価格で取引すること
・過去の実績、少なくとも日本の企業との取引経験の有無は必ず確認すること
・検査機器、測定機器がそろっていること(但し、埃をかぶっていてはダメ)
・品質管理、または品質保証の組織があること
・日本人または、日本企業での経験のある中国人経営層が在籍していること
・機械が日本製かどうかではなく、日常メンテナンスが行き届いていること 

工場の管理体制を強化すると、それなりに固定費が増加し、製品の価格に上乗せ
されるのは当然のことです。まず、事前に工場に出向いて、生産委託するに当た
り、どこまで管理が必要なのか自分の目でよく確認することです。

見積りを依頼する時も、材料費、加工費はもちろん「管理費」をいくらで見積も
っているかを、よく確認することも重要です。
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